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昆虫館の生きもの日記

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毎月15、30日に昆虫館スタッフが昆虫のこと、気になったこと、好きなことを自由気ままにリレー形式で書き綴ります。
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記事一覧

弾丸旅行!徳島県立博物館の展示「クモという生き物」を見に行ってきました!!

2024年4月。私は徳島県立博物館で開催されている展示「クモという生き物」を見るために徳島県を訪れました。 竜洋昆虫自然観察公園でも企画展「クモ展」が6月より開催予定で、他館のクモ展を見ておきたいということもありました。 でもそれ以上にクモが好きだから、大好きなクモに関わる展示は絶対見ておきたい!そんなわけで静岡県から徳島県まで、この展示を見るためだけに向かったのです。 静岡県から徳島県の旅仕事が終わった日の夜。あらかじめ準備していた荷物を素早く車に積み込み、車で徳島県

巨大テントウムシを探せ!

4月上旬のある日、私は自宅から少し離れた河川敷に行きました。桜があと少しで満開の時期で、訪れた場所では「桜まつり」が開催されていました。屋台が出ていて、花見を楽しむ人で賑わっています。 とても綺麗に咲いていました。申し訳ない話ですが、この場所には別の理由で訪れていて「桜まつり」が開催されていることは知りませんでした。 その別の理由というのが、テントウムシ探しです。なぜテントウムシを探すのかというと、2024年4月13日(土)~5月26日(日)の期間で「テントウムシ展」を開催

こんちゅうクンは、なぜ昆虫が好きなのか?

「小さい頃から昆虫が好きだったんですか?」 昆虫館で働いていると、よく聞かれる質問の一つです。 答えはもちろん「物心ついた頃から虫が好きでした」なのですが、 深くがっつりと虫が好きになったのには、大きなきっかけがありました。 それが、小学校6年生の時に出会った理科の先生です。 昆虫が好きで、昆虫館に就職し、”こんちゅうクン”という変なキャラクターにまでなってしまったわけですが、 その先生がいなければ絶対に今の僕はなかったと断言できます。 今回は、僕“こんちゅうクン

カモノハシ探訪記

オーストラリアで雨に打たれる2023年3月、オーストラリアを訪れていた私は、宿の目の前にある川でカモノハシが見られるという情報を聞き、雨の降る中カメラを庇いながらじっと川面を見つめていました。 カモノハシOrnithorhynchus anatinusはオーストラリア東部、タスマニア島、カンガルー島(移入)に生息する哺乳類で、カモのそれと似たくちばしを持ちます。卵を産む哺乳類として有名です。また、数少ない毒を持った哺乳類としても知られています。 カモノハシは日本では飼育

落ち葉の下の生きものをシフティングで見つけよう!

まだ寒さの残る2月。キタキチョウやツチイナゴなどの成虫で越冬する昆虫たちは枯草や樹の根元などに潜り込んで、暖かくなる春を待っています。当園の野外公園を見渡しても、寒い日には昆虫の姿はなかなか見当たりません。 今回は、そんな時期でも生きものを見たい!という人におすすめの方法、シフティングをご紹介します。 シフティングとは?シフティングとは、ふるいを使って落ち葉の中から小さな生きものを探す方法のことです。 小さな生きものは普段は目にしたり気にしたりすることが少ない生きものです。

カニムシを求めて朽ち木の中のいきものさがし

時がたつのは早いもので、もう2月の中旬になりました。もうすぐ春が来て、様々ないきものが動き出し始めるでしょう。そんな春を迎える前ですが、私はとあるいきものを見つけようと夢中になっています。そのいきものとは、カニムシです。 カニムシは土の中や落ち葉の下、樹皮の裏などに潜む肉食の土壌生物です。カニのようにハサミを持っているのでカニムシという名前が付いたと言われています。サイズは1~8mm程度と小さく、クモガタ綱に分類されるクモやサソリに近い仲間です。 今回はカニムシを探す話と

りゅうこんで見た「モズのはやにえ」

1月はじめに撮影した、冬の桜です。 春が待ち遠しいですね。 はい、見つかりましたか? よく見ると、枝に何かが刺さっています。 アップします。 カエルです。 ニホンアマガエルが枝に刺さっていました。 これが今回紹介する【モズのはやにえ】です。 モズは、捕らえた獲物を木の枝やとげに刺しておく「はやにえ」という習性をもちます。 当園では土日祝日に野外公園をスタッフが案内して回る「ガイドウォーク」というイベントをやっていますが、この時も冬の自然観察ポイントの一つとして、毎

巨大な新種ゴキブリ ダイオウゴキブリ発見記

2023年12月30日。私は共著者の方々と共に、台湾から新種・ダイオウゴキブリPeriplaneta gigantea(ペリプラネタ・ギガンテア)を記載した論文を出版しました(Yanagisawa et al. 2023)。今回は本種の発見から記載までのお話をご紹介しようと思います。 研究のはじまり2021年夏、私は西表島で見つけた「謎のゴキブリ」の詳細を調べるために、国立感染症研究所を訪れていました。国立感染症研究所には、朝比奈正二郎博士が集めた世界各地のゴキブリ標本が保

ジョロウグモの冬越し

年末になり、2023年も残すところあと数日となりました。ここ1週間はあっと言う間に時間が過ぎていったような気がします。寒さも厳しくなり、先日は初霜が降りました。 寒くなるとなかなか野外観察には出掛けなくなってしまいますよね。でも、冬でも観察できる生きものはたくさんいます。今回は、冬を耐え忍ぶジョロウグモをご紹介します。 冬のジョロウグモジョロウグモは一般的には秋に成体が多く見られるクモですが、加藤・馬場(2016)によると2月13日まで生きていていたジョロウグモが報告されて

冬のクワガタムシどこへいく?

竜洋昆虫自然観察公園では 2023年12月16日(土)~2024年1月28日(日)の期間に 企画展「日本のクワガタムシ展」を初開催します! 今回のnoteでは、冬のクワガタムシと「日本のクワガタムシ展」について書いていきたいと思います。 冬のクワガタムシカブトムシやクワガタムシと言えば”夏”のイメージが強いかと思います。 しかし、この度ほぼ真冬の時期に「日本のクワガタムシ展」を開催します。 日本のカブトムシはイメージ通り、夏にのみ成虫を観察できます。 夏の間に卵を産み、

よく見るカメムシ7選

すっかり冷え込んできましたね。 さて、 カメムシは好きですか? 今回はそのへんでよく見る、そして、よく聞かれる 身近なカメムシ7種をざっくりと紹介します。 今の時期(秋〜冬)、冬越しのために家に入ってきたり、洗濯物にまぎれこんできたりとカメムシとの出会いが増える季節だからです。 あなたが、あの日あの時あの場所でめぐり逢ったカメムシが 「あの時のあの子、この子だったのか!」ってなって 見知らぬ二人(一人と一匹)のままの存在から 軽く挨拶はするぐらいの顔見知り的な

日本のサソリ

当園では2023年10月21日(土)~12月24日(日)の期間中、「サソリ展」を開催しています。世界のサソリ約15種20匹が登場しており、解説パネルや写真で魅力的なサソリたちの世界に迫っています。 当園初開催の企画展で、見に来てくれる人がいるのか多少の不安はありましたが、すでに多くの方にご来園いただいており嬉しい限りです。 今回はサソリ展に合わせて、日本に生息するサソリについて紹介したいと思います。 日本にもいるサソリたちサソリというと、砂漠に住んでいるというイメージを持

クモ好きが集めるクモグッズのご紹介

クモが好き私は数年前からクモが好きになりました。 網を張って獲物を待ち構えるジョロウグモ、くりくりとした大きな眼を持つハエトリグモ、フサフサの毛で覆われた大きなタランチュラ。世界には約5万種のクモが生息していて見た目も生態も多種多様です。ふとしたきっかけでクモに目を向けてみると、身近にもたくさんの種類が生息しており、追いかけているうちに夢中になっていました。 クモの魅力は多様性や身近にいることだけではありません。ハエトリグモやコガネグモなどのクモを戦わせる遊びや、クモにま

耳をすませば聞こえてくる。秋の鳴く虫♪

夏になると虫の鳴き声が聞こえ始めます。秋になるとより多くの虫の声が皆さんの耳に届いているはずです。 しかし、虫が鳴いているな~と何となく聞き流してしまっている方が多いのではないでしょうか?今回はすごく身近なのに、意外と知らない鳴く虫について書いていきます。 ※鳴く虫というとコオロギ、スズムシ、キリギリス、セミなどの音を出す虫のことを言います。今回のnoteではセミは扱わず、秋の鳴く虫について紹介していきます。 鳴く虫の季節春や初夏頃に鳴いている虫もいますが、夏~秋が鳴き声