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世界で出会った3種の珍奇な昆虫たち

昆虫の多様性

私は子どもの時から昆虫を追い求めていて、時間さえあればひたすら虫探しをしています。昆虫は多様性に溢れた生き物で、まん丸い種からトゲのある種、空を飛ぶ種から地中深くで生活する種など、姿や生態は様々。毎日のように見たことのない昆虫が見つかるので、楽しくて仕方ありません。

時には、どうしてそんな姿、生態になったのか? と考えてしまうほどの、まさに珍奇といえる昆虫との出会いもあります。
今回は、昆虫の多様性の一端をご紹介すべく、私がこれまで出会った中で推したい「珍奇昆虫」を3種ご紹介したいと思います。

ツツケラの一種Cylindrachetidae gen. sp.

ツツケラ

こちらはオーストラリアのクイーンズランド州で見つけた昆虫。ケラのような見た目ですが、実はケラではなくノミバッタに近い昆虫。ヨロイモグラゴキブリを探して、ユーカリやアカシアの生える林の地面を掘っていたら出てきました。ケラのような見た目をしていますが体は少し堅く、翅は全くありません。最初は何の昆虫かわからず戸惑いました。
ツツケラという昆虫だと教えてもらった時は「そんな虫がいたのか!」と驚いたのを覚えています。このツツケラ、フンなのか危険を感じて何か出しているのかわかりませんが、においが結構キツイです。生ものが腐った鼻を突くにおいがします。

地中に穴を掘って生活しており、体もそれに適してか細長く円筒状です。地中にいるのでただ歩いていても見つけられないため、なかなか出会うことができない昆虫のようです。こんな見た目ですが動きは素早く、短い脚を使ってセカセカと歩きます。奇妙な見た目ですが、生活に適した形なのでしょう。

ツツケラの横顔

イナズマチョウの幼虫Euthalia sp.

イナズマチョウの一種(幼虫)

こちらはタイのチャンタブリー県で出会った昆虫です。夜間にゴキブリを探して林縁部を歩いていたら見つけました。もはやケムシと言っていいのかわからないくらいの突起の集合。葉の上で異様な存在感を放っていました。ここまで来ると芸術性を感じますね。毒がありそうな見た目ですが、調べてみると毒がある種とない種がいるとか。この種はどちらなのか気になりますが、試す気にはなれませんでした。

これだけ様々な方向に突起があれば鉄壁のように見えますが、真上からの攻撃に対処できるのか疑問です。なにか策があるのか、必要ないのか、はたまた生やせない理由があるのか……考えてみると面白いです。
成虫も紹介したかったのですが残念ながら写真が無かったので、撮影できたら追加したいと思います。

クジャクハゴロモPterodictya reticularis

クジャクハゴロモ

こちらは南米のフランス領ギアナのルラで見つけた昆虫です。ライトトラップ(強力な光を点けて光に集まる昆虫を採集する方法)に飛来し、そのへんてこな見た目に驚きました。
腹部の後ろに付いているのはロウ物質で、触ると簡単に取れてしまいます。そのため、この姿を標本で保存することは難しく、生息地だからこそ見ることのできた姿です。カメムシ科の昆虫で、ロウ物質を取り払うとどことなくセミに似ています。

白バック写真を撮影する時はロウ物質が取れないよう丁寧に扱いました。クジャクの翅のようなロウ物質を持つことからこの名前で呼ばれているようです。ロウ物質にばかり注目してしまいがちですが、細かい網目模様の透き通った翅も本種の魅力です。

ライトトラップに飛来した様子

最後に宣伝: さらなる珍奇昆虫が気になる方へ

2021年に発売され、現在ではプレミアがつくほど大好評だった『BURUTUS珍奇昆虫』の第2弾が2024年7月16日(火)に発売されます。世界の様々な珍奇昆虫が美しい写真で紹介されています。昆虫の多様性をビシバシ感じたい方はぜひお手に取ってみてください。

今回、私はBook in Book 『Beautiful G Handbook』としてゴキブリの特集袋とじ(12p)の作成を行いました。今までにないほどゴキブリがおしゃれに特集されています。ゴキブリ標本グラビア、推しゴキ、オーロラゴキブリ生息地探訪などなど、非常に充実した内容になっています。竜洋昆虫自然観察公園でも販売予定ですので、ぜひご覧ください。

BRUTUS珍奇昆虫2