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こんちゅう館スタッフの生きもの日記

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毎月15、30日に昆虫館スタッフが昆虫のこと、気になったこと、好きなことを自由気ままにリレー形式で書き綴ります。
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#観察

雨が降っても晴れでも見られる虫は変わらない?雨の日に探してみたら…

はじめにしとしとと降る雨の中、生きものの観察に出かけたことはあるでしょうか。観察と言うと天気の良い晴れた日を選ぶかと思います。では、雨の日に生きものはいないのでしょうか? 今回は雨の日に、こんちゅう館の野外公園を回って生きものを探してみることにしましょう。一体どんな生きものが見つかるでしょうか? さあ、雨の野外公園へ出かけてみましょうさっそく見つけたのは、ジョロウグモの幼体。 近づきすぎたみたいで、大急ぎで逃げていってしまいました。もうじき成体になって、大きくて立派な姿が

カモノハシ探訪記

オーストラリアで雨に打たれる2023年3月、オーストラリアを訪れていた私は、宿の目の前にある川でカモノハシが見られるという情報を聞き、雨の降る中カメラを庇いながらじっと川面を見つめていました。 カモノハシOrnithorhynchus anatinusはオーストラリア東部、タスマニア島、カンガルー島(移入)に生息する哺乳類で、カモのそれと似たくちばしを持ちます。卵を産む哺乳類として有名です。また、数少ない毒を持った哺乳類としても知られています。 カモノハシは日本では飼育

ジョロウグモの冬越し

年末になり、2023年も残すところあと数日となりました。ここ1週間はあっと言う間に時間が過ぎていったような気がします。寒さも厳しくなり、先日は初霜が降りました。 寒くなるとなかなか野外観察には出掛けなくなってしまいますよね。でも、冬でも観察できる生きものはたくさんいます。今回は、冬を耐え忍ぶジョロウグモをご紹介します。 冬のジョロウグモジョロウグモは一般的には秋に成体が多く見られるクモですが、加藤・馬場(2016)によると2月13日まで生きていていたジョロウグモが報告されて

海辺に住む珍奇なコオロギ

現在、竜洋昆虫自然観察公園では『鳴く虫展』を開催中です。30種ほどの鳴く虫が大集合して企画展示室で鳴きまくっており、大変賑やかな企画展となっています。 そのなかの「鳴きそうだけど鳴かない虫」コーナーに私が採集・繁殖させたダイトウウミコオロギCaconemobius daitoensisがいます。 実はこのダイトウウミコオロギ、飼育展示している場所は他にないのではないかというほどなかなか見ることができない虫なのですが、マニアックすぎてあまり注目されていません。 「あのダイトウ

不思議な生物 カギムシ

肢がたくさんあり、ゆったりした動き。粘液を噴射して獲物を捕らえる。このような特徴を聞いたら、皆さんはどんな生き物を想像しますか? こんにちは、ゴキブリストしずまです。気づけばこのリレーマガジンも3巡目。「ゴキブリストを名乗っているのにゴキブリの記事書かないのか?」という声が聞こえてきそうですが、今回もゴキブリではない生き物のお話をしたいと思います。 今回フォーカスする生き物は、カギムシです。 なかなか見つからないカギムシ カギムシは有爪動物門というグループの生き物で、節足

りゅうこんハエトリグモウォーク

突然ですが皆さん。 この虫知っていますか? いかがでしょうか? 実はこの虫、誰もが必ずと言って良いほど見たことがある、身近な虫なのです。 正解はタイトルにも含まれている通り、ハエトリグモです。 今回は可愛らしい見た目やしぐさから、人気のあるハエトリグモについて、竜洋昆虫自然観察公園内で観察できる種類の紹介と探し方を書いていきたいと思います。 ハエトリグモについて先程、誰もが必ずと言って良いほど見たことがある、身近な虫と言いましたが、こんな虫見たことない!と思っている