落ち葉の下の生きものをシフティングで見つけよう!
まだ寒さの残る2月。キタキチョウやツチイナゴなどの成虫で越冬する昆虫たちは枯草や樹の根元などに潜り込んで、暖かくなる春を待っています。当園の野外公園を見渡しても、寒い日には昆虫の姿はなかなか見当たりません。
今回は、そんな時期でも生きものを見たい!という人におすすめの方法、シフティングをご紹介します。
シフティングとは?
シフティングとは、ふるいを使って落ち葉の中から小さな生きものを探す方法のことです。
小さな生きものは普段は目にしたり気にしたりすることが少ない生きものです。でも、自分で探してルーペなどで拡大して生きものを見てみると、新しい発見や驚きがあってとてもワクワクします。
用意する道具
ふるいと受け皿、軍手があればできます。
園芸用のふるいは網の目の大きさを変えられます。網の目の大きさを変えると、ふるいから落ちる生きものも変わります。台所の水切りラックなどプラスチック製は軽くて洗いやすく、百円均一で手に入れられます。
今回は百円均一で購入した台所用の水切りラックを使いました。受け皿は白色の方が生きものは探しやすいです。
方法
ふるいの中に、落ち葉と落ち葉に接していた土を入れてふるいにかけます。すると下の受け皿の中に生きものが落ちます。実際に野外公園でやってみてどんな生きものが採れるか見てみましょう。
さあ、シフティング開始!の前に・・・
土壌生物は林や草地の湿った地面に多くいます。ですが、野外公園は基本的に乾燥している場所が多いのでシフティングに適しているとは言えません。
実際に公園内の落ち葉の下をめくっても、地面が乾いていて生きものがいるようには見えませんでした。
このままではシフティングの魅力を伝えられなくなってしまう!!と、胸に不安がよぎります。
どこだ!どこなら地面は湿ってるんだ!!と心の中で叫びつつ落ち葉を掻きわけます。この日は晴れていましたが、前日は雨でした。地面が濡れている場所はきっとまだあるはず、樹の根元ならなおよし!と思いながら目線を動かすと斜面が見えます。
斜面の下ならまだ乾いていない地面があるのでは?と急ぎ足で斜面に近づき、樹の根元にしゃがんで地面の湿り気を確認します。さっきよりも湿っています!ここなら少しは生きものがいるかもしれないと一安心。ようやくシフティングを始められます。
何かが動いてる!
最初は何も採れなかったのですが、繰り返しシフティングをしていると受け皿の中で細かい土が動いていることに気づきました。顔を寄せて見てみると土の下にムカデの様な形をした小さな生きものや、ダンゴムシの仲間が動いていました。
このあとは採れた生きものをこんちゅう館に持ち帰り、ルーペや双眼実体顕微鏡、図鑑を使って調べられる範囲で名前を調べてみました。
シフティングで採れた生きもの
他にもダニの仲間やダンゴムシの仲間、オオハリアリの仲間などがいました。イネカメムシはシフティングをするたびに数匹入っていたので落ち葉の下にはこんなにカメムシがいるのかと驚きです。
網を張るコガネグモが見つかったのは何でだろうと思いましたが、きっとコガネグモは落ち葉の上にあった枯れ枝に網を張っていたのだと思います。その枯れ枝と周辺の落ち葉をガバッとまとめてふるいに入れたので採れたのでしょう。
おわりに
今回は冬の時期でも生きものを見つけられるシフティングのご紹介でした。ふるいと受け皿があればシフティングは手軽にできます。一見、何もいないように見える場所でも探してみると様々な生きものが見つかります。場所によって見つけられる生きものも違いますので、いろいろな場所で試してみると面白いと思います。
これからの暖かい時期でもできますので、春休みはもちろん、夏休みの自由研究でもおすすめです。
ぜひ皆さんもシフティングで、落ち葉の下の小さな生きものの世界に触れてみてはいかがでしょうか。
参考文献
青木淳一(編), 2015. 日本土壌生物第二版 分類のための図解検索. 東海大学出版部
小野展嗣(編), 2009. 日本産クモ類. 東海大学出版部
寺山守・久保田敏・江口克之, 2014. 日本産アリ類図鑑. 朝倉書店