ジョロウグモの冬越し
年末になり、2023年も残すところあと数日となりました。ここ1週間はあっと言う間に時間が過ぎていったような気がします。寒さも厳しくなり、先日は初霜が降りました。
寒くなるとなかなか野外観察には出掛けなくなってしまいますよね。でも、冬でも観察できる生きものはたくさんいます。今回は、冬を耐え忍ぶジョロウグモをご紹介します。
冬のジョロウグモ
ジョロウグモは一般的には秋に成体が多く見られるクモですが、加藤・馬場(2016)によると2月13日まで生きていていたジョロウグモが報告されています。私も以前、磐田市内で1月10日にジョロウグモの姿を見たことがあります。個体数は少なくなりますが、冬の時期でも観察ができるのです。
ジョロウグモは公園や街の中など身近な場所にいるクモです。網を張るクモで、晩秋には巨大な網に大きな体が目立つので皆さん一度は見たことがあるかと思います。
私が1月10日にジョロウグモを見つけた場所は薄暗い杉林の中でした。林の中だったので強い風を避けることができ、風に飛ばされることが無かったのだと思います。
風が吹くとクモは網をしっかりと脚で掴んで飛ばされないようにしていました。
ジョロウグモを探すコツ
ジョロウグモを探す場合は、風雨が避けられる場所を見ていくと良いかと思います。磐田市では快晴の日が多いので雨はあまり気になりませんが、風が特に強く吹くため、風が避けられるような建物の近くや林の中などの場所にいるクモが年を越せるのかな、と勝手に思っています。
冬に観察するからと言ってなにか特別な行動が見られるということではないのですが・・・冬にジョロウグモと出会えるとなんだか嬉しくなりませんか? 私だけ・・・? みんなそうですよね!
当園の野外公園でも現在、2匹のジョロウグモが生きています。秋に見られるジョロウグモの網よりは、小さいですが網を張っていました。年末年始の休園期間を乗り切って2024年1月2日の開園日に生きている姿が確認できるといいなと思っています。もしご来園の際は探してみて下さい。また、他の場所でもジョロウグモを見つけることができたら、何月まで生きているのかぜひ観察してみて下さい。
おわりに
2023年の開園は本日、12月27日が最終日です。今年もたくさんの方々にご来園頂きありがとうございました。
2024年は1月2日(火)より開園いたします。2024年も皆さんに楽しんでいただけるような企画展やイベントを開催いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
引用文献
加藤俊英・馬場友希, 2016. 東京都目黒区における2月中旬の野外でのジョロウグモの記録. Kishidaia,109: 21-22.
参考文献
安田明雄, 2017. 立春を迎えた3頭のジョロウグモ(横浜市金沢区の記録). Kishidaia, 111: 16-18.
安田明雄, 2018. 立春を迎えたジョロウグモ(横浜市金沢区の記録). Kishidaia, 113: 17-20.