耳をすませば聞こえてくる。秋の鳴く虫♪
夏になると虫の鳴き声が聞こえ始めます。秋になるとより多くの虫の声が皆さんの耳に届いているはずです。
しかし、虫が鳴いているな~と何となく聞き流してしまっている方が多いのではないでしょうか?今回はすごく身近なのに、意外と知らない鳴く虫について書いていきます。
※鳴く虫というとコオロギ、スズムシ、キリギリス、セミなどの音を出す虫のことを言います。今回のnoteではセミは扱わず、秋の鳴く虫について紹介していきます。
鳴く虫の季節
春や初夏頃に鳴いている虫もいますが、夏~秋が鳴き声が多く聞こえる本番の季節です。10月の中旬になりましたが、まだまだ鳴き声が聞こえます。昨日の夜、少しだけ外を歩いてみたらマツムシ、エンマコオロギの鳴き声が聞こえました。その年の気温などにもよりますが8月~11月は鳴き声を聞くチャンスです。
どうやって鳴いている?
鳴く虫の鳴き声を「虫の声」と言うこともありますが、人のように声帯を震わせて口から声を出しているわけではありません。
秋に鳴く虫の多くは、はねをこすり合わせて音を出しています。このはねのこすり合う音が鳴き声として聞こえてくるのです。
コオロギやスズムシなどのように多くの鳴く虫はオスだけが鳴きますが、ツユムシやケラなどの一部の種ではメスも鳴くことが出来ます。
鳴く虫のオスとメスの見分け方を二つ紹介します。
メスには産卵管という卵を産むための器官があり、管状に長く伸びるため非常に目立ちます。この産卵管があればメスです。多くの鳴く虫で産卵管はオスとメスを見分けるポイントなのでぜひおしりに注目してみてください。
コオロギの仲間の一部では間違いやすいポイントがあります。上の画像をご覧ください。オスもメスもうしろばねがおしりの先まで伸びているのが分かります。このうしろばねを産卵管と勘違いしてしまうことがあり、私も昔はよく間違えていました。
もう一つの見分け方はまえばねの形です。エンマコオロギのはねに注目すると鳴くことができるオスのはねのつくりが複雑になっています。メスはオスに比べると真っすぐ綺麗に伸びているように見えますね。この見分け方は他の鳴く虫では分かりづらい種もいるので、産卵管の有無で見分ける方がおススメです。
なぜ鳴くのか
鳴く虫が鳴くのはメスへのアピールや、なわばりのアピール、オスのケンカなどが理由です。その場面に応じて鳴き方を変えます。
エンマコオロギは、メスへのアピールをする時は「コロコロリー」と鳴きます。この鳴き方を誘い鳴きと言います。
なわばりをアピールする時は「コロコロコロ」と鳴き、誘い鳴きと比べると「リー」の部分が無くなります。「リー」が無くなると個人的に少し寂し気な印象があります。
ケンカをするときはメスへのアピールの時の「リー」がきつくなったような「リリリリリ」という鳴き方をします。
鳴く理由はその場面に応じて様々あるというわけです。
身近な鳴く虫紹介
ここからは皆さんの耳にも届いているであろう身近な鳴く虫を少し紹介していきます。
先程から説明で登場しているエンマコオロギです。
体は大きく近くの公園でも意外と見つかります。地獄の大王、エンマ大王を思わせる顔立ちをしていることからその名がつけられました。鳴き声は綺麗で通りやすく大きな声で鳴くので、聞きなじみがあるのではないかと思います。昼間から鳴いていて夜も鳴くので、少し耳を傾けると聞こえるかもしれません。
童謡『虫のこえ』に登場する鳴く虫です。
とても高い、響き渡る美しい鳴き声です。響く音なので、車の運転中でも「ピッ・ピリリ」と鳴き声が聞こえます。秋の始まりから終わりまで長いこと鳴き声が聞こえますが、暗くなってからしか鳴きませんので、夜に耳をすませば聞こえてくると思います。
日本の鳴く虫の代表種といっても過言ではないのがスズムシです。小学校でも飼育されてることがあるので見たことがある人も多いのではないでしょうか?因みに私が通っていた小学校でも飼育していました!
こちらも童謡『虫のこえ』に登場しています。親しみ深く「リーンリーン」と透き通るような美しい鳴き声を聞かせてくれます。
皆さんの近くの公園などにも生息している可能性は十分にあります。ただ、鳴き声は聞こえても、茂みの奥の方や草丈の高いところで隠れて鳴いていることが多いので、捕まえるのが大変です。やっと見つけたと思ったらメスである事が多いです(個人の意見です)。
体長が約5~8mm程の小さな鳴く虫、シバスズです。
気にしなければほとんど見つけられない小ささで「ビーー」と鈍めではありますが響く音で鳴きます。こんなに小さい鳴く虫は見たことないと思う方もいるかもしれませんが、近くの公園や家の庭などの身近に住んでいる鳴く虫です。
足元に注意して探せば簡単に見つかることもあります。
鳴く虫の楽しみ方
私のおすすめは鳴き声の「聞きなし」です!「聞きなし」というのは、鳥などの鳴き声を言葉や文字にしたものです 。
分かりやすいのが童謡『虫のこえ』で、鳴く虫と聞きなしがセットで歌詞になっています。マツムシは「チンチロ チンチロ チンチロリン」と歌われていますが、私には「ピッ・ピリリ」と鳴いているように聞こえます。
これに正解はありません。こういうふうに聞こえると思えればそれでいいのです。その言葉に変換する作業が、面白くもどかしいので、家族や友達と言い合ってみてください。より一層鳴き声を楽しめると思います。
鳴く虫はどこで鳴いている?
鳴く虫はとても身近に生息しています。「秋になったから鳴く虫を探しに行こう!」なんてことはしなくても、公園や空き地、家の庭、街路樹などでも鳴き声が聞こえます。自然の多い場所に行けばより多くの鳴き声が聞こえるかもしれませんが、家から一歩も出なくたって鳴き声は聞こえるはずです。
秋の季節には少し自然に耳を傾けてみてください。今まで聞き流してしまっていた新しい発見があるかもしれません!
おわりに
鳴く虫はとても身近で、私たちの暮らしのすぐそばにいます。このnoteを読んで一人でも多くの方が、鳴く虫の鳴き声に耳を傾けるようになって頂けると嬉しいです。ちょっと気にするようになるだけで自然との楽しみが増えるのではないでしょうか?