カイコの糸をとってみよう
前回、カイコの飼育方法についてのnoteを書きました。今回はその発展として、カイコの繭から糸をとる方法をご紹介しようと思います。
繭から糸を取る
所要時間は1~2時間ほどです。結構長いので、時間に余裕があるときに行いましょう。作業は単純で難しいものではありません。ただ、火やお湯を使うので、子どもは大人と一緒にやるようにしましょう。後半は糸をひたすら巻く時間になるので、小さい子だと飽きてしまうかもしれません。数人で交代しながら進めるといいでしょう。
準備するもの
カイコの糸とりには以下のものが必要です。
糸を取ろう
1. 繭を煮る(煮繭)
まず、鍋に7割ほど水を入れて火にかけます。このとき、鍋いっぱいに水を入れすぎないように注意してください。だいたい鍋の6~7分目くらいにしましょう。
お湯が沸騰したら繭を入れて2~3分ほど煮ます。繭の中には空気があるので、割りばしで沈めるようにして煮ましょう。
その後、鍋の中に追加で水を入れます。この「差し水」をすることで、お湯が繭の中に入り込み、よく煮ることができます。再び沸騰して2~3分ほど経ったら、煮繭完了です。火を止めましょう。
2. 糸をたぐる
割りばしを鍋の中でゆっくりと回すと、繭から解けた糸が絡みついてきます。最初は絡まった状態で取れるので、やけどしないようにこれを1本の糸になるまで引っ張ります。
3. 巻き取る
探し出した糸を糸巻き板に掛け、ゆっくりと回していきます。ここからは長い作業です。糸の状態を見つつ、集中して巻き取っていきましょう。糸が切れてしまったら、②に戻ってもう一度同じ板に巻き付ければ問題ありません。
4. 完成
糸を取っていくと、どんどん繭が透けて中のサナギが見えてきます。
ビニール袋と同じくらい透けてきた頃、巻き取っていた糸が自然に終わります。糸とり完了です。完成したものは記念に飾っておきましょう。そのまま紐をつけて窓際に飾ると糸がキラキラ光って綺麗です。
カイコの繭は1300mほどの長い糸でできています。糸取りをしてみると、その長さが実感できます。これだけの糸を巻き取るのはとても大変だったと思います。人間でもこれだけ大変なので、小さいカイコが繭を作るのはもっともっと大変。カイコはすごい昆虫ですね。
カイコを飼ってみませんか?
竜洋昆虫自然観察公園では、自由研究の題材にしたい方や飼育日記をつけたい方に向けて、毎年春~秋にかけてカイコの卵や幼虫を無料配布しています。興味のある方は竜洋昆虫自然観察公園にお問い合わせください。飼育にはクワの葉が必要になるので、飼育を希望される方はあらかじめ生えている場所を見つけておくといいでしょう。
飼育方法については、前に記事を書いていますので、こちらをご覧ください。
さいごに
カイコは日本を支えた偉大な昆虫です。最近では身近で飼っている人も少なくなり、目にする機会が減ってしまいました。昆虫館で展示をしていると、かなりの割合で「初めてカイコを見た」という方がいらっしゃいます。最盛期ではあちこちの家で飼育されていた「身近な昆虫」でしたが、今ではそうとも言えなくなってきているのでしょう。学校の授業でカイコの飼育をするところもありますが、それも多くはありません。
カイコは人間に作り出された昆虫で、幼虫は歩いて逃げることもありませんし、成虫になっても飛ぶことはできません。また、噛むこともありませんし、人間と共通の病気が無いので安心して飼育することができます。すごく扱いやすい、昆虫飼育初心者の方にこそおすすめの昆虫です。
カイコを飼育し、その繭から糸を取ってみることで、小さな命に触れ、生き物や歴史について体験から新鮮な学びを得ることができるでしょう。飼育してみたいという方はぜひ事前にカイコの生態や歴史について調べてからチャレンジしてみてください。