見出し画像

冬のクワガタムシどこへいく?

日本のクワガタムシ展初開催

竜洋昆虫自然観察公園では
2023年12月16日(土)~2024年1月28日(日)の期間に
企画展「日本のクワガタムシ展」を初開催します!

今回のnoteでは、冬のクワガタムシと「日本のクワガタムシ展」について書いていきたいと思います。


冬のクワガタムシ

カブトムシやクワガタムシと言えば”夏”のイメージが強いかと思います。
しかし、この度ほぼ真冬の時期に「日本のクワガタムシ展」を開催します。

カブトムシTrypoxylus dichotomus

日本のカブトムシはイメージ通り、夏にのみ成虫を観察できます。
夏の間に卵を産み、冬にはそこから生まれた幼虫が土の中で暮らしています。

カブトムシの幼虫

ではクワガタムシはどうでしょうか?

コクワガタDorcus rectus rectus

実はコクワガタ、ヒラタクワガタ、オオクワガタなどは成虫で冬を越すことが出来ます。
こんちゅう館にいるとクワガタムシの飼い方を質問されることがあり、冬を越すと言うと驚かれる方も多くいらっしゃいます。確かに夏の暖かい時期に活動が活発になるため夏の虫というのも間違いではないです。ですが冬の間も成虫がどこかに身をひそめているという訳です。
もちろん夏に産まれた幼虫も冬には身をひそめています。

ヒラタクワガタDorcus titanus pilifer
オオクワガタDorcus hopei binodulosus

では冬のクワガタムシはどこにいるのでしょうか?

彼らは朽ち木の中など人の目にはつかないところで身をひそめています。

朽ち木から出てきたコクワガタ

朽ち木の中にいられては見つからないのも当然ですね・・・

コクワガタやオオクワガタなどは朽ち木に産卵し、幼虫は朽ち木を食べます。そのため幼虫も朽ち木の中から見つかります。

因みにノコギリクワガタやミヤマクワガタなどはカブトムシと同様に冬を越すことが出来ず、基本的には夏に死んでしまいます。たまに辛抱強い個体が冬まで生き残っている姿が観察されますが、次の暖かい時期を迎えることはできません。

ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatus inclinatus

日本のクワガタムシ展

毎年、夏には「世界のカブト・クワガタ展」を開催していますが「日本のクワガタムシ展」は初開催となります。
企画展になるほど日本にクワガタムシはいるのか!?と思うかもしれません。日本にはさまざまなクワガタムシが生息していて、南西諸島にも多くの亜種が分布しています。
亜種とは…【別の種には分けられないものの、同じ種の中で形や色のことなる個体群にたいして使われる階級】(丸山ほか, 2022) のことです。

今回の企画展は南西諸島のクワガタムシを多く展示予定です。
ここで少しだけ企画展に登場する虫達を紹介します。

アマミノコギリクワガタProsopocoilus dissimilis dissimilis

名前の通りに奄美群島に生息するノコギリクワガタです。
黒っぽいノコギリクワガタは本州でも見られますが、しっかり黒くなるのがアマミノコギリクワガタの特徴です。

アマミノコギリクワガタは本州に生息するノコギリクワガタとは別種でアマミノコギリクワガタという種になります。
ノコギリクワガタにとても似ていますが違いがあります。

「日本のクワガタムシ展」では展示予定はありませんが、本州に生息するノコギリクワガタと見比べてみましょう。

ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatus inclinatus

どのあたりが違うか、何となく分かりましたでしょうか?
違いとしてはこちらのノコギリクワガタの方が大あごの湾曲が強く、体の色が赤褐色~暗赤褐色になります。個体差もあるため、絶対このポイントで見分けられるというわけではありませんが大型の個体はこのポイントで見分けることが出来ます。

ヨナグニネブトクワガタAegus ishigakiensis mizunumai

こちらは与那国島に生息するネブトクワガタです。
ネブトクワガタは本州にも生息していて、大あごの根本が太いので「「ネブト」クワガタ」という名前になりました。ヨナグニネブトクワガタは大あごの内歯の先端が尖るのが特徴です。ヨナグニネブトクワガタはヤエヤマネブトクワガタの亜種になります。

与那国島は日本最西端の島であり、国境の島とも呼ばれています。
台湾まではわずかに111kmですが、最西端の島にもクワガタムシは生息しているのです。

おわりに

少しだけではありますが展示予定のクワガタムシを紹介させて頂きました。今回の「日本のクワガタムシ展」では約20種35亜種(原名亜種を含む)を展示予定で今紹介した以外にも様々なクワガタムシが登場します!

「日本のクワガタムシ展」

改めてお伝えしますが、期間は
2023年12月16日(土)~2024年1月28日(日){毎週木曜、年末年始の12月28日~1月1日は休園(祝日、2024年1月4日(木)は開園)}になります!

この冬はぜひ、竜洋昆虫自然観察公園へ!

参考文献
土屋利行, 2019. ポケット図鑑-日本のクワガタムシ. むし社.

引用文献
丸山宗利・ 長島聖大・ 中峰空, 2022. 学研の図鑑LIVE 新版昆虫. 学研プラス.

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!